中古住宅の見方 — 築年数より構造と状態
日本では長らく「家は新築」が当たり前でしたが、新築は買った瞬間に2〜3割値下がりすると 言われます(広告費や利益が乗っているため)。一方、中古は値下がりが進んだ後の価格で 買えるので、同じ予算で立地や広さを妥協しなくて済むことが多い。 「新築か中古か」は好みの問題ではなく、お金の配分の問題です。
1点目は構造。木造22年・鉄筋コンクリート47年という数字を聞いたことがあるかもしれませんが、 これは税金の計算用の耐用年数で、寿命ではありません(詳しくは不動産カテゴリの「構造と耐用年数」)。 きちんと手入れされた木造は50年でも現役です。ただし銀行の融資期間はこの耐用年数に縛られがちなので、 「住める年数」と「ローンが組みやすい年数」は別物と覚えてください。
2点目は1981年(昭和56年)6月。ここで建物の耐震基準が大きく変わりました (それより前が旧耐震、後が新耐震)。 木造ならさらに2000年にも接合部などの基準強化があり、「1981年以前は原則避ける、木造は2000年以降だとより安心」が目安です。 正確には「築何年」ではなく建築確認がいつ下りたかで判定します。
3点目は管理状態。同じ築30年でも、外壁と屋根を定期的に直してきた家と、 何もしてこなかった家では中身が別物です。見学では 雨染み(天井の角)・基礎のひび・床の傾き・水回りの臭いをチェック。 売主に修繕履歴(いつ屋根や外壁を直したか)を聞くのが最短です。 具体的にどこを見るかは、下の「内見チェックリスト」にまとめました。
目と同じくらい大事なのが書類です。特に検査済証—— 完成した建物が法律どおりに建てられたと役所が確認した証明書 —— の有無は必ず聞いてください。 古い戸建てにはこれが無い物件が珍しくなく、無断増築で建ぺい率オーバーになっている家は、住宅ローンの審査で不利になり、 将来売るときも同じ理由で買い手が付きにくくなります。 あわせて、戸建てなら境界標(隣地との境目の杭)が現地にあるか、 境界をめぐる取り決め書があるかも確認。境界があいまいな土地は売るときに揉めます。
マンションの場合は、部屋より先に「管理」を見ます。修繕積立金の残高と長期修繕計画、そして直近の総会議事録。 積立金が相場より妙に安いマンションは一見お得ですが、大規模修繕のお金が貯まっておらず、将来の値上げか一時金徴収が待っていることが多い。 「マンションは管理を買え」という相場の格言は、中古では特にそのまま真実です。
さらに詳しく:内見チェックリスト(戸建て)
- 外まわり:基礎のひび(髪の毛程度は経年の範囲、幅0.3mm以上・横に走るひびは注意)、 外壁を手でこすって白い粉が付くか(チョーキング=塗装の寿命)、 屋根の波打ち・雨樋の外れ、家の周りの地面の沈下
- 家の中:天井の角の雨染み(特に最上階・窓まわり)、床の傾き (スマホの水平器アプリで測れます。1mで6mm以上傾いていたら要精査)、 ドア・窓の開け閉めが渋くないか(傾きのサイン)、押入れ・クローゼットのカビ臭
- 水まわり:蛇口を全開にして水圧を見る、排水の流れと臭い、 床下点検口を開けてもらい湿気・カビ臭・木くず(シロアリの痕跡)を確認
- もう一手間:晴れの日だけでなく雨の日にもう一度見に行くと、 雨漏りと水はけの真実がわかります。夜の周辺環境(騒音・街灯)も別物です
さらに詳しく:築年数別に見るポイント
- 築10〜20年:設備(給湯器・キッチン)の交換期。建物自体はまだ若い。 外壁塗装を1回もしていない物件は要注意(塗装は15年前後が目安)
- 築20〜30年:水回り一式の交換期+屋根・外壁2回目。 リフォーム費用を数百万円単位で見込んで総額で判断する(次の項目「リフォームとリノベの費用相場」)
- 築30年〜:1995年以前なら耐震診断を検討。配管(給排水管)の寿命も来るので、 スケルトンリノベ前提か、土地値で買う感覚に近づく
- 1981年以前:原則避ける。買うなら耐震補強費用(100〜200万円規模)を上乗せして計算
ここまでのチェックは、あくまで素人の目でできる範囲です。 数万円で一級建築士などのプロが床下から屋根裏まで調べてくれるホームインスペクション(住宅診断)というサービスもあり、 築古を買うなら費用対効果は十分。仲介会社への遠慮は不要で、契約前に「インスペクションを入れたい」と言うのは、いまや普通のことです。
築年数と構造を入れて診断してみる