利回りノート

立地は直せない、建物は直せる

内装が古い、水回りが汚い、外壁が色あせている——これらは全部お金で解決できる問題で、 しかも費用は前の項目の相場表の通り、だいたい予測できます。 ところが駅までの距離、土地の形、前面道路、日当たり、周辺環境は、いくら積んでも1mmも動かせません。 見学で内装の印象に気を取られると、この一番大事な区別を忘れます。 プロが「ボロさは味方」と言うのは、見た目の悪さで値段が下がった物件から、直せない部分が優秀なものを拾えるからです。

賃貸に出す場合、駅徒歩は家賃と空室率にほぼ直結します。 都市部では徒歩10分以内が探される条件の定番で、徒歩15分を超えると 検索の候補から外れやすくなり、家賃を下げて埋めることになります。 つまり「駅近のボロ」はリノベ後に家賃が付きやすく、売るときも買い手がいる。 「駅遠のきれい」は今はよくても、築年数とともに競争力が落ちる一方です。

ただし「駅近なら何でもいい」ではありません。旧耐震(1981年以前)・再建築不可・土砂や浸水のハザードは、 駅近でも打ち消せない別枠のリスクです(「中古住宅の見方」と「やっていい工事・できない工事」参照)。 また、車社会の地方では駅距離よりスーパー・職場・学校への動線や駐車場が主役になるなど、 「立地の中身」は地域で変わります。変わらないのは直せないものから先に見るという順番です。

駅徒歩を入れて資産価値を診断してみる