利回りノート

金利はどう決まるか

まず値段としての感覚から。3,000万円を金利2%で借りると、1年目の利息はざっくり60万円(3,000万円×2%)。 金利が3%なら90万円です。たった1%の差が年30万円、35年なら数百万円の差になるのが金利の怖さで、 だからこそ「その1%はどこで決まっているのか」を知る意味があります。

金利が決まる2つの経路。上は日銀が起点で変動金利へ、下は市場が起点で固定金利へ。動く時期も理由も別物。

変動金利の経路は日銀から始まります。日銀は景気と物価を見て政策金利せいさくきんり政策金利(せいさくきんり)日銀が決める、銀行同士が短期でお金を貸し借りする金利の目標。景気と物価を見て上げ下げする。変動金利の大元。(銀行同士が短期でお金を貸し借りする金利の目標)を上げ下げします。 銀行はそれに連動して短期プライムレートたんきぷらいむれーと短期プライムレート(たんきぷらいむれーと)銀行が優良企業に1年以内で貸すときの最優遇金利(短プラ)。政策金利に連動し、住宅ローン変動金利の基準金利はこれに1%程度上乗せしたもの。(略して短プラ。優良企業向けの最優遇金利で、政策金利+1%が目安)を動かし、 住宅ローンの「基準金利」は短プラに1%程度を上乗せしたものです。 あなたが実際に払う金利は、この基準金利から優遇幅(引き下げ幅)を引いた数字。 優遇幅は契約時に決まって完済まで変わらないので、基準金利が0.25%上がれば、あなたの金利もそのまま0.25%上がります。

固定金利の経路は市場から始まります。長期金利ちょうききんり長期金利(ちょうききんり)10年国債の利回りのこと。市場の将来予想(利上げ・財政・米金利)で日々動き、固定金利(フラット35・10年固定)の元になる。(=10年国債の利回り)は日銀が直接決めるものではなく、 「これから利上げが続きそうか」「国の財政は大丈夫か」「米国の金利はどうか」を市場が織り込んで毎日動きます。 銀行の固定金利やフラット35ふらっとさんじゅうごフラット35(ふらっとさんじゅうご)住宅金融支援機構による全期間固定金利の住宅ローン。自宅用であり投資利用は不可(発覚すれば一括返済請求)。はこの長期金利に上乗せして決まる(毎月1日に改定)ので、日銀の会合を待たずに、市場の予想が変わった時点で先に動きます。 「日銀は何もしていないのに固定だけ上がった」が起きるのはこのためです。

ここまでが「世の中の金利」。そこから自分の金利がさらに上下する理由が5つあります。

  • 属性:年収・勤務先・勤続年数。安定して返せる人ほど優遇幅が大きい
  • 自己資金:頭金が多いほど銀行のリスクが減り、金利は下がる(フラット35は自己資金1割で区分が変わる)
  • 期間:長く借りるほど銀行にとって先が読めないので、固定は期間が長いほど高い
  • 物件:担保としての価値(積算・立地)が高いほど条件が良い
  • 用途:自宅は「住み続けるために必ず返す」と見なされ最も低く、アパートローンは 「空室で家賃が入らないかもしれない」事業リスクの分だけ高い(1〜2%以上の差が普通)
さらに詳しく:なぜ日銀は金利を上げ下げするのか

日銀の仕事は「物価の安定」で、目安は物価上昇率2%。 物価が上がりすぎている(景気が過熱している)ときは金利を上げてお金を借りにくくし、 物価が上がらない・景気が冷えているときは金利を下げて借りやすくします。 金利を上げると住宅ローンも企業の借入も重くなり、消費や投資が減って物価の上昇が落ち着く、という仕組みです。

日本は2016年から政策金利がマイナス(−0.1%)という異例の状態が続き、 変動金利0.3〜0.5%という水準はその産物でした。2024年3月にマイナス金利が解除されてからは、 物価の上昇を背景に段階的な利上げが続いています。「変動は低いもの」という感覚は、この特殊な時期に作られたものだと知っておくと、 金利上昇のニュースを冷静に受け取れます。

もう一つ、長期金利には日銀の「利上げの到達点」が織り込まれます。 市場が「最終的に政策金利は2%まで行く」と考えれば、10年国債の利回りはそれを先取りして上がる。 だから固定金利は日銀の次の一手ではなく、その先の数手までを映しています。

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